日本で「働き方改革」が叫ばれるようになって早3年。仕事とプライベートのバランスが重要視されるようになりました。
お隣の韓国でも、多様な働き方が生まれると同時に「N잡러」「투잡을 뛰다」などの新造語が登場しています。
聞いたことない単語だな…
今回はこうした「N잡러」など仕事に関する韓国語とともに、韓国での副業や働き方の変化について詳しく解説していきます。
韓国における働き方の現状
韓国ドラマで、夜中に会社で出前を取って夜食を食べているシーンを見たことがありませんか?
そう、韓国は世界有数の長時間労働大国なんです。
2020年の統計では、韓国の一人当たりの年間労働時間は1,908時間(一日平均7.8時間)となっており、世界主要国の中でも4位にランクインしています。
一方の日本は24位で、年間1,598時間(一日平均6.5時間)と、韓国と日本では労働時間に1.2倍もの差があるのです。
以前は週44時間だった法定労働時間も、現在では근로기준법(勤労基準法)により週40時間に短縮されています。しかし実際には、残業がなかなか減っていないというのが現状のようです。
人生100年時代!働き方にまつわる新造語が登場
日本と同じように平均寿命が延び続ける韓国でも、인생 100세 시대(人生100歳時代)と言われています。
長く続けられる職探しや、老後に向けた資金作りが不可欠となる中、副業をする人が年々増えていると言います。
そのような流れの中で今、急速に注目を集めている言葉があります。
それが「N잡러」です。
N잡러とは?
複数を表す「N」+職業を表す「잡(jobの韓国語読み)」+人を表す「러(-erの韓国語読み)」を組み合わせた新造語です。
よって「N잡러」の意味は「複数の仕事を持つ人、副業をしている人」になります。
N잡러は、所得を増やす以外にも、仕事を通して自分の能力を活したり、自己実現を図るなど、その目的はさまざまです。
上述のように、長時間労働が常態化しストレスの多い環境が強いられる韓国では、本業以外で仕事に楽しみを見出したり、自己の成長を目指す風潮が高まっています。
その動きの中で、若い世代を中心に「N잡러」という働き方が人気を得ているようです。
実際に、韓国のMZ세대(MZ世代)の会社員のうち5人に1人が「N잡러」であることが分かっています。
ちなみに副業で得たお金の使い道としては、「投資」が最も多いようです。
韓国で人気の副業は?
複数の職業を持つ「N잡러」について説明してきましたが、彼らは実際どんな仕事をしているのでしょうか?ここからは、韓国で人気のある副業についてご紹介していきます!
クリエイター
YouTube・Instagram・ブログなどを利用したソーシャルクリエイターは韓国の副業の中で最も人気があります。
YouTubeは、日本でも今や小学生のなりたい職業ランキング1位になるほど人気がありますよね。韓国でも、YouTubeを使った副業が人気を集めています。
Instagramでインフルエンサーを目指す人も数多くいます。
また文章を書くことが好きな人は、趣味や得意分野について記事を書くといった働き方も根強い人気があります。
これらの共通点としては、時間や場所に縛られず、いつでもどこでも始められるということです。
かつては芸能人だけが使うイメージの強かったSNSですが、今や誰でも利用できる副業ツールとして多くのN잡러が利用しています。
物販(ネットショップ)
韓国ではなんと、50%を超える人がオンラインショッピングを利用しています。
これは、中国に次いで世界に2番目に高い割合です。
従来は、ホームページを運営したりと専門知識がないと参入が難しかったネットショッピングですが、最近ではNAVERの「스마트스토어(スマートストア)」などを利用して、誰でも簡単にオンラインで商品が販売できるようになっています。
こうした手軽さが後押しとなり、ネット物販を始める人が増えているようです。
出前・宅配
韓国ドラマでもよくチキンの出前を取るシーンが出てきますよね!
それほど韓国人にとって出前は身近な存在で、人気の副業(アルバイト)の一つです。
一定時間の教育を受ければ、スマホアプリ一つで簡単に始めることができます。
韓国で人気ナンバーワンの出前アプリ「배달의 민족(配達の民族)」が運営する「배민 커넥트」や 쿠팡(クーパン)が運営する「쿠팡 플렉스」などがあります。
バイクに乗って行うイメージの強い出前のアルバイトも、最近では自転車・電動キックボード・徒歩など、運転免許がなくても始められるようです。
特に徒歩での配達は、運動しながらお小遣い稼ぎもできるとあって、一石二鳥の副業として人気を集めています。
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その他
この他にも、イラストやアクセサリー、せっけん、アロマキャンドルなど手作りの品を販売する人もいます。
自分の個性を活かし、趣味を楽しみながら仕事にも繋げることができるのが「N잡」の良いところです。
「N잡러」以外にも!覚えておきたい働き方に関する韓国語
副業や働き方に関する新造語は他にもあります。ぜひ覚えておきたいものを紹介しますので、要チェックです!
투잡을 뛰다(투잡 뛰다)
투잡(two jobの韓国語読み)+뛰다(走る)で「2つの仕事(副業)を行う」「二足の草鞋を履く」という意味です。
これまた韓国語と英語が入り混じった面白い表現ですね!
「複数」の仕事をする「N잡러」以前に登場した言葉で、仕事を3つ掛け持ちしている場合「쓰리잡을 뛰다」と表現することもあります。(쓰리:threeの韓国語読み)
就職難が深刻な韓国では、景気によっては職を得てもすぐ解雇される可能性があることから、副業は生活の安定にも欠かせないものとなっています。
워라밸
워라밸は「워크 라이프 밸런스(ワークライフバランス)」の略語です。
長時間労働や業務時間外の指示などが問題となっていた韓国でも、仕事とプライベートの両立のために、この워라밸が重要視されるようになりました。
日本の働き方改革と同様に、定時退社など労働時間の遵守や、フレックスタイム制、仕事の生産性向上など、職場環境改善への取り組みが続けられています。
まとめ
今回は、韓国で話題の新造語「N잡러」についてご紹介しました。
趣味や得意分野を仕事にする、多様な働き方が広がり始めていることがお分かりいただけたと思います。
人生100年時代と言われる現代において、1つの仕事にとらわれない柔軟な生き方を考えることはとても重要ですよね。
皆さんならどんな「N잡」をしてみたいでしょうか?
この機会に考えてみる、または始めてみるのも良いかもしれませんね^^
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